「いいトコってここぉ?」
思わずボクは呆れた声を出してしまった。
でも、無理なかったと思うよ?
まゆらが「お茶するのにいい所見つけたの〜v」なんて得意気に言うもんだから
しぶしぶながらもちょっと期待して付いてきたのに。
ココって…ココって…
うちのテラスじゃん!?
「そーだよ?ロキくん知ってたの!?」
知ってたもなにも…
「ココ、ボクんちなんだケド…」
「あ、そっか〜!!」
…気付いてくれよ…。
おひさまの午後
雲ひとつない、青空。
今日は確かに、屋外でお茶するには最適の日だろうね。
カップに注がれたレモンティーに、光がきらきら反射してる。
テラスにはテーブルと椅子が用意してあって(闇野くんの所業だろうな)
ボクの向かいには、まゆら。
色素の薄い髪は日をあびて、透き通っている。
その横顔はなんとなくいつもと違って見えて。
不覚にも、ちょっと時間を止めてた。
そんなとき、
…なんでココで言うかな…ムードもなにもあったもんじゃない…
「コレさえなきゃ〜ね…」
やれやれ、とボクはカップに手を伸ばし、はっとする。
…コレさえなきゃ…なんなんだ!?
彼女の髪に揺れるリボンを見てたら、
なにかが胸でうずいた。
ソレは、遠い昔に感じたような、なにか。