この笑顔を見ていると、
 ココロが 軋む。



優しく触れないで



 突然自分の城にずかずかと上がり込んできた侵入者に当然の文句を投げつけたら、「だって鍵が開いてたから」と、非常識な答えが返ってきた。
「お前、そんなの泥棒と一緒だぞ。立派な犯罪だろーが」
「……詐欺師の方が立派な犯罪だと思うんですけど」
 さすが検事を目指すだけあって、口先は達者だ。
「………めんどくせぇ女」
 言い返す言葉が見つからなくて、ため息混じりにこう呟くと、相手はむっとした瞳でこちらを睨んでくる。
「せっかく、田舎からいいものが送られてきたから持ってきたのに」
「そんなの、全くこれぽっちも頼んでませ〜ん。もしかしてお前、俺の機嫌を取って家賃滞納を見逃して貰おうなんて魂胆じゃないだろうな?」
「………なんでそうなるのよっ……バカっ!」
 先ほどまで強い光を放っていた瞳から、ころりと大きな粒がこぼれ落ちる。
ばたん、と大きな音をたてて、扉は閉められた。
残された薄暗い部屋で、ち、と舌打ちをする。
「なんだよ、悪いのは俺かよ。……勝手に俺に関わってくる一番のバカは、お前だろうが。」

例え隣人といえども、他人となどよろしくするものか。
玄関先に置かれた包みを、乱暴にゴミ箱へ放り込む。


そうでなくとも、最近あの少女に心を持って行かれてしまいそうになるのに。





 どうして幸せな二人がかけないのか……;
でも片思い大好物なのですよー。

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